DTPで多様されるアドビ社の3大ソフト

さてDTPは、どんなコンピューターでも同じようにできるかといえば、現状、そうとはいえません。コンピューターといえば、アメリカのMicrosoft(マイクロソフト)社が製作しているWindows(ウインドウズ)というOS(オペレーティングシステム=コンピューターを動かすための基本的な操作ソフト)を搭載したマシンが一般的であり、全世界的に多くのシェアを持っています。一時期は9割以上がWindowsでしたが、最近は若干減っていると言われているものの、それでも2019年時点で8割を越えるシェアを誇っているようです。しかしDTPはWindowsではなく、アメリカのApple(アップル)社が開発・製造するMacintosh(マッキントッシュ=マックと呼ばれる)によって花開いたのでした(Macintoshについては「Macて何よ」参照)。

Macintoshを使ってDTPを行うソフトで、初めに本格的なものとなったのは、Aldus(アルダス)社のPageMaker(ページメーカー)でした(同ソフトは後に米アドビ社が買収)。文字を組んで冊子などの形にするソフトで、レイアウトソフトなどとも呼ばれます。

しかしその後、QuarkXPress(クオーク・エクスプレス)の登場で、レイアウトソフトはこちらが普及することになりました。さらにその後、Adobe社が開発したInDesign(インデザイン)というレイアウトソフトが普及し、現在ではQuarkXPressの牙城を完全に崩しています。

DTPを行う際のソフトで、現在、最も普及しているのは以下の三点だと言えるでしょう。

  • Adobe InDesign(アドビ・インデザイン)アメリカ・アドビ社のレイアウトソフト。
  • Adobe Photoshop(アドビ・フォトショップ)アメリカ・アドビ社の画像操作ソフト。写真の修正や、二次元でのコンピューターグラフィック制作などに使われる。
  • Adobe Illustrator(アドビ・イラストレーター)アメリカ・アドビ社のイラスト制作ソフト。グラフや表、図版などの制作にも向く。もちろんイラストも描ける。 レイアウト機能も充実している。

これら以外にも純国産のレイアウトソフトであるEDICOLOR(エディカラー/キヤノンITソリューション株式会社) などもありましたが、2016年に販売が中止されています。商業印刷の世界は、Adobe社の独壇場と言っても過言ではないでしょう。

なおAdobe社のこれらのソフトにはWindows版もあり、現在では「DTPといえばMac」とは言い切れなくなっています。それでも印刷業界ではまだまだMacが強く、そのシェアは高いままのようです。