「気づいたら読んでいた」紙面を作りたい

広報誌を作る担当になったとき、まず思い浮かべるのは「どういう手順で作るのだろう」「文章はどう書くのだろう」「紙面への配置はどのようにするのだろう」などではないでしょうか。もちろんそうした制作技術面は「はずせない」事柄ですが、それだけでは良い広報誌は作れませんし、読んでもらえる広報誌作りにつながりません。

制作上の技術的な側面は確かに重要ですが、広報誌作りで目指すのは「読者が自然に読んでしまう紙面作り」だと言えます。紙面の見やすさや文章の読みやすさ、分かりやすさは、読者が「自然に読む」ために必要です。また紙面の見た目(デザイン・レイアウト)は、書かれている内容へ読者が「自然に入っていく」ための重要な要素になります。掲載内容が何であるかは、読者が「自然に興味を持つ」ことへつながります。

「自然に読む」とは、読みやすいだけではなく、気づいたら読んでいた、つい読んでしまったという体験を読者の内に起こすこととも言えるでしょう。 そんな魔法のようなことができるはずもないと考えるかもしれませんが、そんなことはありません。興味深い企画を立て、紙面構成やデザインを工夫し、インパクトのある見出しを付けるなどすることにより、そんな「自然に読ませる」紙面を作ることができます。

読者は気まぐれです。読みたいと思ったら読みますが、読む気にならなければ歯牙にも掛けません。そんな人々が「読みたい」という気持ちになるようにちょっと突っついてやること、それによって人々が自然に読んでしまう、それが編集をする側の醍醐味だと言えるでしょう。そんなとき読者は、編集者のそんな術中にハマったことに気づきません。そこもまた、編集魂をくすぐるのです。 このコーナーで、こうした「編集者の術」の全てをお知らせすることはできませんが、導入となる事柄をご紹介したいと思います。それは広報誌作りの基本と言えるものかもしれません。ここをベースにして「読者が自然に読んでしまう紙面作り」へと進んでいただければと願っています。