しっかり見て、聴き、記録します
取材……。この言葉には、何となくカッコイイ響きがありますね。「取材に行く」なんて言うと、いっぱしの業界人みたいですが、実際にやることは、見ることと聴くこと、そして記録することです。その場の状況をしっかり見て、人の話をしっかり聴きます。
生きた記事を書く
たとえば総会や大会の記事は、会のプログラムと要項があれば書けてしまいます。しかしそんな記事は死んでいます。生き生きとした記事、そして読む人の心をつかむ記事は、取材しなければ書けません。
取材方法を二つに分けてお話ししましょう。
直接取材――自分の目と耳でつかみとる
総会・研修会・講演会などの行事が実施されている場所で、その様子を取材することを直接取材といいます。会場の様子をしっかり見て、内容をメモし、写真を撮ります。必要に応じて録音もします。また参加者にインタビューして印象などを聴き取ったりします。自分の目で見て、耳で聴いた内容は、必ず生きた記事の材料になります。
間接取材――事前に質問を用意する
間接取材とは、ある問題についてよく知っている人の話を聴き、間接的に問題に近付くというもの。たとえば、交通事故の状況を知るために管内の警察署へ行って話を聴いたり、子供の悩みを知るために電話相談室へ行って話を聴いたりするというものです。これは、特集の取材でよく行います。
間接取材を行うときには、次のような点に配慮しましょう。
- 訪問の約束をする
- 取材に出かける前に、必ずアポイントメント(約束)をとります。
- 質問を複数用意する
- 事前に質問を5つぐらい考えておきます。それらを導入にして、より深く聴いていきます。
- 聴き手と書き手に分業する
- 「質問をする人とメモとる人」というように、二人ぐらいで分業するといいでしょう。慣れないうちは一人で取材すると、ついメモにクギづけになってしまい、うまくインタビューできないからです。
- 録音機材を用意する
- ボイスレコーダーなどの録音機も積極的に使います。短い記事なら、メモだけで書くことができますが、確認のため、録音が聴けるようにしておきます。また取材相手が話したことを正しく記録しておく意味でも録音は重要です。
対談や座談会などの場合は、録音がないと記事にできないと言っても過言ではありません。対談等の要旨を記事化するだけならともかく、対談する人たちの言葉をある程度詳細に記事にする場合、つまり対談のやりとりを文章にする場合は、言い回しなども記録する必要がありますから、録音は必須と言えます。
なお、インタビュー等で録音する場合は、録音機のスイッチを入れる前に、必ず相手に断りをいれましょう。「録音させていただきます」「録音させていただいていいですか?」といった一言は、インタビュー時のマナーです。
独自の略語でメモを取る
取材時は、ボイスレコーダーなどで録音はするだけでなく、メモもしっかり取りましょう。記事を書く際、録音内容をすべて確認する時間がない場合もあります。また録音機のマイクの向きにより、一部の音声が録音されていない場合があるかもしれません。さらに、取材現場にいたからこそ「ここが大事だな」と感じとることができる事柄もあり、そういったポイントもメモしておくことが重要です。
とはいえ、メモを取るとき、取材内容すべてを文字に書き記すことはできません。そこで略語を用意しておくと便利です。
取材メモは自分に読めれば十分です。だから略語類は独自のものでOK。自分にとって最も分かりやすいものを作りましょう。画数の多い漢字を英語の一部で表してもいいでしょう。
(例=「環境」を「env」とする等)
また略語ではありませんが、漢字を平仮名や片仮名で書けば時間が短縮できます。
(例=「経済」を「ケイザイ」、「乖離」を「カイリ」等)