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お役立ち情報・コラム「誤字・間違った表記」

誤字・間違った表記[編集系Tips]

「一同に会する」と「一堂に会する」どっちが正しい?

編集者にとって、誤字や間違い表記は天敵です。絶対に間違えないようにしようと心に誓っても、何度も何度も校正をしても、間違えるときは間違えてしまいます。本当に困ってしまいますね。

よくある間違いを挙げてみましょう。

間違い その1……「行なう」

「行う」と、「う」だけを付けるのが正しい送りがなです。しかしインターネット上などでは「行なう」の表記が少なくありません。「行う」か「行なう」か、どちらが正しいかを知らずに使っている場合もありますが、あえて「な」を入れている場合もあるようです。それは「行った」と書くと「おこなった」と読むだけでなく「いった」とも読めてしまうからです。

確かに「行った」を見ると、この考え方に対して理解を示したくなります。しかし現在の日本語では「な」を入れずに書きますので「行う」「行った」と表記するようにしましょう。

※「行なう」の表記を「間違いである」と言い切ることはできません。昭和48年に内閣告示された「改定送り仮名の付け方」によれば、許容されるものとして「行なう」も使うことができるとされています。しかし広報誌等では「行う」を使うようにした方がいいでしょう。詳細は文化庁ホームページ内にある「送り仮名の付け方」の「通則1」をご覧ください)

間違い その2……「○○を期に」「期が熟す」

この場合は「機」を使います。「期」は、ある期間をさしますが、「機」には、はずみとか、ころあいという意味がありますので、「機が熟す」が正しいわけです。

間違い その3……「これをやって欲しい」

何かをやってほしい場合、つまりある状態を希望するときは「ほしい」とひらがな書きが望ましいでしょう。「学校まで送ってほしい」のように書きます。物品等が欲しい場合には「欲しい」と漢字で表記します。「新しいコンピュータが欲しい」と書きます。この書き分けは「絶対」ではありませんが、広報誌等ではこのように表現するといいでしょう。

間違い その4……「こんにちわ」

意外によくある間違いです。あいさつの「こんにちは」の最後は「わ」ではありません。「こんにちは」は、もともと「今日は」という言葉ですから「わ」ではおかしいですね。「この本が欲しいわ」などの用例と混同していると思われます。「こんにちは」「こんばんは」など、間違えないようにしましょう。

間違い その5……「一同に会する」

よく使われる慣用句ですが、「一同」ではなく「一堂」です。一つの建物(堂)で会うわけですので「堂」が正しいですね。「一堂に集める」という言い方もあります。

間違い その6……「過半数を超える」

過半数とは、半分より多いことですから、「過半数を超える」だと、「半数を超えた数を超える」という意味になり、重複しますね。「半数を超える」あるいは「過半数に達する」が正しいですね。

間違い その7……「人間ドッグ」

つい言ってしまう、またつい書いてしまいがちな間違いですね。正しくは「人間ドック」です。 ドックとは船を造ったり修理したりする場所。人の体を調べるという意味で「人間ドック」と呼ばれます。「ドッグ」では犬になってしまいますね。ちなみに「ホットドッグ」はドックではなくドッグが正解。英語の「hot dog」がフランクフルトソーセージを意味しているからと言われます。また寝台は「ベッド」、カバンは「バッグ」ですね。「ベット」や「バック」は間違いです。「バック」だと背面などの意味になってしまいます。

間違い その8……「好きなスポーツはボーリング」

これもよくある間違い。「ボーリング」とは穴をあけること。石油や温泉などを採取するときに細い縦穴を掘ることの意味でよく使われます。10本のピンをボールで倒すゲームは「ボウリング」。こちら英語で「bowling」と書くことから分かります。サラダなどを入れる鉢もボウル(bowl)ですね。球技で使う玉はボール(ball)です。

間違い その9……「彼は自分が悪いと分かっていながら友達をだました。確信犯だね」

これは本当によく間違われています。確信犯という言葉を「自分では悪いと分かっていながら(悪いと確信していながら)それをやる、ずるい行為」と思っている人が多いようです。正しくは、自分が正しいことをすると信じて行う犯罪を確信犯といいます。テロ行為も確信犯といえます。また自分が信じる宗教や思想に従って行う犯罪も確信犯です。自分は正しいことをしていると信じて行う犯罪を確信犯と呼ぶわけです。

九つの例を出しました。まだまだたくさんあります。漢字の間違い、送りがなの間違い、表現の間違いなどさまざまです。詳しくは『記者ハンドブック(共同通信社刊)』などをご覧ください。

誤字や間違った表記は、誰でもしてしまう可能性があります。大切なのは「自分は間違わない」と考えないこと。編集の経験が増せば増すほど「自分は大丈夫」的な思いが強くなっていきます。ご注意を……。