写真の形にも意味がある

一般的にはあまり問題にされないことかもしれませんが、編集の世界では、写真の形に気を配る場合があります。それは顔写真の掲載の場合です。

写真は通常、四角で掲載します。撮影した元が長方形だからでしょう。そのまま掲載すれば、横長の長方形になりますが、トリミング(写真の一部を取り出して掲載すること)することにより、正方形や縦長にすることもできますし、撮影の方法を変えれば、初めから縦長の写真を用意することもできます。また掲載時に丸く切り抜くことも可能ですし、星形や台形、さらには自由な形で切り抜くことも可能です。とはいえ通常は、四角の写真を使う場合がほとんどです。イベント紹介などで自由なレイアウトをするときに、変形に切り抜いた写真を載せる場合もありますが、特殊な例といえるでしょう。

写真は四角で掲載する場合が多いものの、顔写真の場合はそうとも限りません。顔写真は「雁首(がんくび)」と呼ばれ、普通の写真とは少々違った扱いをする場合が多いようです。

新聞に掲載されている顔写真を見ると、四角いものと丸く切り抜かれたものを見ることができます。実はこれには意味があるのです。新聞の場合、一般的には「犯罪の容疑者等」の顔写真を載せる場合は四角くします。反対に被害に遭われた方や、普通の紹介記事での顔写真、文章を書いた人の顔などの場合は、丸く切り抜いた写真が使われます。なぜこうするかはよく分からないのですが、一説には、昔の新聞で容疑者と被害者を並べるとき、間違えて掲載しないために形を変えたともいわれますし、丸い方が印象が柔らかいため、視覚効果を狙ってそのようにしたとも言われます。

ただし四角い顔写真がすべて「悪い人」という訳ではありません。死亡記事に載せる顔写真は、四角くする場合が多いようです。また選挙などのように一度に多くの顔写真を載せる場合は、すべて四角くされる場合が少なくありません。とはいえ、こうした形の分類は、漢字の正誤のようにきっちりしたものではありませんので、新聞社によって差異があります。どんな場合でも四角い顔写真を使っているところもあるそうです。

なお顔写真(雁首)とは首から上の写真であり、いわゆるバストアップ(胸から上の写真)では、四角でも問題ないとされています。またこれは、主に新聞の世界で言われていることなので、広報や編集一般の決まり事と考えない方がいいかもしれません。それでも、新聞は多くの人が毎日、目にするものですので、新聞以外の編集時にも、ある程度は気に掛けた方がいいでしょう。