見てもらう対象によって編集方針が変わります

まとめることが編集であるとはいえ、どうまとめたらいいのかが、よく分からない方も多いでしょう。たとえば社内報の担当になっちゃったから、編集業務をしなくちゃならない……という人。きっと「どう記事を書くのだろう」「紙面構成はどうやるんだろう」「写真はどう撮って、どう掲載するんだろう」……。こんなことがまず頭に浮かんでしまうのではありませんか? もちろんこれらは、社内報を作るとなったら必要になる事柄ですが、その前に、もっと大切なことを忘れてはいないでしょうか。

社内報を作る(記念誌を作る、でも、ホームページを作る、でも、パンフレットを作る、でも同じです)ときにまず考えたいことは「だれが見るのか」ということ。見る人を幸せにするのが編集なら、どういう人が見るのかをまず考えたいですね。

一般の新聞や雑誌は、不特定多数の人を対象にしています。それでも新聞の種類によって、雰囲気が違いますね。一般紙とスポーツ紙では、一目で違いが分かります。野球をはじめとするスポーツが好きではない人は、たぶんスポーツ紙は買わないでしょう。野球は嫌いだけど釣りは好きだという人は買うかもしれません。作り手は、少しでも多くの人に読んでもらいたいので、さまざまな内容を盛り込みます。でもスポーツ紙が中心的にあつかうのは、スポーツ系の内容です。ここに電子技術系の内容は、あまり掲載されないでしょう。

反対に、業界紙と呼ばれる新聞では、その業界にかかわる人が興味を持ちそうなことや、知っておくと良いと思われることを中心に構成されます。電子部品の業界紙には、スポーツの話題はそれほど出てこないでしょう。

すべての人が等しく興味を持ち、すべての人にとって等しく有益である記事(内容)は存在しません。人には個性があり、それぞれに興味対象があり、さらにはいろいろな組織に所属していることから、知識やスキルもさまざまです。見てくれる人が、どんな人であるのか(女性を対象にする、ある企業内の人だけを対象にする、インターネットのヘビーユーザーを対象にする、高校生を対象にする、囲碁好きの人を対象にする、などなど)によって、あなたの編集方法は大きく変わってくるはずです。まずそこから考えてみましょう。たとえばあなたが、部屋の模様替えをしようとしている女性だったとしたら、一人住まいか、旦那様がいらっしゃるか、子供がいるかによって、部屋の様子は大きく変わりますね。それはあなたにとって使い勝手が良く、見やすく、分かりやすく、そして楽しい部屋であるだけでなく、そこを利用する人がどう思うかも大きな要素になるからです。さまざまな編集は、このように「相手」があることを前提にしていることを忘れないようにしましょう。