写真、イラスト、そしてデザインも考慮した編集

編集物というと、中心になるのは文章(記事)だと思われがちです。確かに、細かな内容まで伝えるのは文章ですが、新聞でも雑誌でもその他パンフレットやホームページでも、見る側が初めに触れるのは、「見た目」です。見た目によって、紙面やパンフレットなどを詳しく読んでもらえるかどうかが決まります。

とはいえ、見た目を派手にしろと言っているわけではありません。初めにお話ししたように、編集とは「見やすく、分かりやすく」することです。それは文章だけのことではなく、見た目にも言えるのです。

編集したあとの紙面を、読者がざっと見たとき、それを「分かりやすい」と思えるかどうかが問題になります(この場合は、ビデオ等の映像・音声ではなく、紙媒体を対象にして考えます)。せっかく良い内容や面白い記事が書かれていても、ざっと見ただけで「面白そう」と思えなければ、見る側に伝わりません。「面白そう」と思えない紙面は、だれもそれ以上、読もうとしないからです。

そこで大切になってくるのが、文章以外の部分です。

レイアウトとは、紙面等の構成のことです。社内報であるなら、ページのどの位置に写真を置いて、どの位置に見出し(タイトル)を置いて……と考えることです。紙面を見るとき、だれでも「目につく物」から見ていきます。まず目に飛び込むのは、写真やイラスト、そして見出しです。読者はそれらを目で追いながら、そこに書いてある小さな文字(記事)を読むかどうかを決めます。つまり、写真やイラスト、見出しは、読者にアピールするための大きな要素であるのです。さらに、実際に記事を読み出した読者に対しても、写真やイラストは説得力となります。これらのものが、見やすく配置されているかどうかは、実は大きな問題で、レイアウトの善しあしで読者の読む態度が変化してしまうのです。

さらに、レイアウトだけでなく、紙面のデザインをも考えて深めていくと、よりアピール性の高い紙面を作ることができます。また見出しの言葉のアピール性が高いかどうかも大きな要素になります(詳しくは「広報誌ってどう作るのよ」を参照してください)。

編集は、素材をまとめて、見やすく、分かりやすくすることですが、制作者はともすると、文章だとか、写真の並び順だとか、そういったことばかりに注意を払いがちです。しかし、見る側からすれば、レイアウトやデザイン、写真といった要素が分かりやすさの大きな要因になります。見る側の立場に立って編集作業を進めることの大切さを忘れないようにしたいものです。