コンピューターを使うならソフトが必要

コンピューターを使って広報誌を作るには、何らかのソフトウエアが必要です。プロの現場では、米国Adobe社のInDesign(インデザイン)・Illustrator(イラストレーター)・Photoshop(フォトショップ)といったソフトウエアが使われる例が多いようですが、ここでは一般的なワープロソフトであるMicrosoft Word(ワード)を例にしてみます。

※ソフトウエアはコンピューターを動作させるプログラムも含む広範囲な言葉で、Wordなどの作業用ツールはソフトウエアのうちのアプリケーション(アプリ)です。ただ、パソコンを使う上では「ソフト」という言葉が一般的で、「アプリ」という言葉はスマートフォンなどでよく使われますので、本書ではアプリケーションもソフトウエア(ソフト)と呼ぶことにします。

Wordの画面

Wordの画面

※上記のInDesignなどについては「DTPって何よ」の「(4)DTP定番ソフト」や、「コラム」の「広報誌を作るソフトは何がいい?」をご覧ください。

広報誌を作るソフトウエアは、Wordだけでよいわけではありません。Wordは文字を打って配置することや写真や図形を置くことはできますが、写真自体をいじることはできません。そこで写真用のソフトウエアが必要になります。

画像ソフトはフリー版でもOK

商業印刷や出版印刷の世界では、写真用のソフトとして上記のPhotoshopがよく使われていますが、これを使わなければダメというわけではありません。安価またはフリーの、あるいはコンピューターに(OSに)標準で付いてくる画像関連ソフトもありますので、そのどれかを使うといいでしょう。ただ、印刷屋さんでちゃんと印刷する場合は、画像形式が問題になってきます。一般の画像ソフトだとRGBという形式での保存になりますが、印刷時はCMYKという形式が必要です(Photoshop等ではCMYKへの変換が可能です)。とはいえ、印刷屋さんの方で上手に対応してくれる場合もありますし、こうしたことを気にせずに印刷できる場合もありますので、印刷屋さんにお願いするときは、事前にそのあたりを相談しておきましょう。

※コンピューターに初めから入っている画像ソフトとしては、Windowsならペイント、Macならプレビューがあります。これらでもある程度のことはできますが、やりたいこと(画像をどういじるか)によっては別のソフトが必要になるかもしれません。フリーのソフトでもいろいろできるものもありますので、必要に応じて探してみるといいでしょう。

ペイントとプレビュー

ペイント(Windows) ・ プレビュー(Mac)

グラフや地図作成も

上記以外には、図を作成するソフトも必要になります。グラフなどは、Microsoft Office(マイクロソフト・オフィス)としてWordとセットになっている表計算ソフトExcel(エクセル)で作り、Wordへ持ってくることができますが、同じグラフでも少し凝った形にしようと思うと、別のソフトが必要です。また組織図とか、簡単な地図といったものを作るときも、同様に別のソフトが必要です。

プロの現場では、Illustrator(イラストレーター)というソフトが有名ですが、必要に応じて同様のソフトを用意するのもいいでしょう。ただ多くの場合、こうした図の作成は、上記の画像用(写真用)ソフトでもある程度は対応できますので、凝ったものを作ろうと思わなければ、用意しなくてもなんとかなります。また広報誌をWordで作るなら、グラフ等はOfficeとしてセットになっているExcelで作った方が扱いやすくなります(もちろん他ソフトで作ったグラフをWordへ持ってくる方法はありますが)。

グラフいろいろ

グラフいろいろ

プリンターとカメラは必須

コンピューターと前述のようなソフトウエアがあれば、とりあえず広報誌のデータ作成までは行えます。しかしプリントアウトができませんので、プリンターは必須と言えるでしょう。「印刷は印刷屋さんでやってもらうからいい」という場合でも、制作途中に確認したり、複数の人でチェックしたりする必要がありますので、やはりプリントアウトをしなくてはなりません。

出力・配布環境に合わせたプリンターを

プリンターは、とりあえずどんな機種でもいいのですが、作りたい広報誌のサイズが出力(プリント)できるものが望まれます。A3判サイズ(297mm×420mm)の広報誌を作るなら、A3判がプリントできるプリンターがあるといいですね。このサイズの機種なら、これ以下のサイズも出力できます。ごく一般的なプリンターは、A3判の半分のA4判(210mm×297mm)出力です。

なお、A4判4ページの紙面は、A3判に印刷して二つに折る形が一般的です。そういう意味ではA3判まで出力できるプリンターが理想です。とはいえA4判プリンターでも1ページずつ出力して、表裏・左右をくっつければ4ページになりますので、制作時のチェックならこれで十分です。

出力サイズ以外の面では、出力形式の違いもあります。プロの現場で使われているプリンターは、PS(ポストスクリプト=ページ記述言語)という形式のものですが、これは高価です。一般の方には不要ですので、家庭用のインクジェットプリンターでよいと思います。ただし配布する広報誌の枚数が多い場合、その全部をインクジェットプリンターで出力するとなると、インクが大量に必要になり、また出力時間も膨大になります。そんなときは業者さんに印刷してもらうことも考えてみるとよいでしょう。

なお、インクジェットプリンターでプリントしたものと印刷屋さんで印刷したものとでは、色目がかなり異なる場合がありますので、そのあたりは注意が必要です。印刷業者に印刷してもらう場合は、事前に業者さんと打ち合わせをしておきましょう。

画像の取り込み機器も必要

プリンター以外に必要なものは、画像をコンピューターに取り込む装置です。写真は、多くの場合、デジカメやスマホで撮影したものが多いでしょうからそのデータが使えますが、紙に書かれた図版・書類や、写真でも印画紙にプリントされたものの場合は、それをデータ化してコンピューターに取り込む必要があります。

こうした「紙もの」の場合は、スキャナーという機器を使います。これをお持ちなら活用していただければいいのですが、お持ちでない場合は、わざわざ購入するのも大変ですので、デジカメやスマホで代用しましょう。デジカメ等で「紙もの」を撮影して写真データにすればいいわけです(きれいに写すには工夫が必要ですが)。

なおカメラは、多くの場合、広報誌作りに必須の機材と言えます。ただ最近ではスマートフォンに付いたカメラがかなり高性能になっていますので、スマホで撮った写真でも十分活用できます。

ボイスレコーダーもあると便利

広報誌作りをするとき、誰かに話を聞いたり、座談会の様子を記録したりする必要が出てくる場合が少なくありません。そんなときには録音機があると便利です。市販のボイスレコーダーで十分ですが、スマートフォンの録音機能を使ってもOKです。

プリンター・モバイル端末・ボイスレコーダー

プリンター・モバイル端末・ボイスレコーダー