自然な読みの流れに逆らわない
レイアウトをする際、やってはいけないことがいくつかあり、新聞等の縦書きレイアウトでのものが有名です。新聞は紙面が広い故に段数が多いので組み方が複雑になりがちで、よくないレイアウトについて古くから的確な指摘がされてきました。
横書きの場合でも縦書きに準じて、やってはいけないレイアウトが存在します。要は「読者が読み間違えをしないように」、そして「読みにくくならないように」することに配慮すればいいのです。また、やってはいけないというほどではないものの、気をつけたいレイアウトもあります。
誤読の恐れもある「やってはいけない」のうち、いくつかを紹介しましょう。
やってはいけないレイアウト
●飛びおり
横書きの文章を読むとき、人の目は左から右へ進み、紙面の端や写真などまで来ると左下へ視線が移動します。読み進んで行の最後(下部)まで来ると、複数の段がある場合、今度は右上へ向かい、そのまままた1行ずつ下へ下へと読み進んでいきます。こうした「読む人の目の動き」に逆らわないレイアウトが必要です。
下図の「横書き」の悪い例は、左の段を下へ読み進んで囲み記事にぶつかったとき、文章の続きが右上ではなく右下に配置されているため、読者の目の流れに逆らっています。
修正例のように、右の段へ移るとき、目の動きが少し上へ向かうようにすれば、自然な目の動きに沿うことができます。
縦書きも同様で、下の段へ移動する際、左へ飛びおりるのではなく、少し右へ戻るようにします。
●飛び越え
写真や見出しなどを飛び越えて記事を読ませるレイアウトは避けたいものです。ただし、全体を四角で囲んだ記事など他の記事とはっきり差別化が図られている場合は、見出しなどを飛び越えて記事を読ませる場合もあります。
改善するには、下図のように、記事が囲み記事などを飛び越えないようにすればOKです。
●腹切り
縦書きの紙面で、段と段の間が右端から左端まで何もぶつからない状態を言います。縦書きの場合、紙面が上下に分断されたように見えてしまい、誤読を誘う場合もありますのでタブーとされていますが、横書きではあまり意識しなくていいでしょう。
●なき分かれ
下図では、記事Aの①から③へ、記事Bの②から③へと、どちらからでも③へ流れることができます。もし①も②もここで文章が終わっていたら、③の内容が見落とされてしまいます。文章がつながっていないために③が読まれないのでは泣いても泣ききれません。
改善するには、①か②のうち③へ続く方を句点(。)で終わらせずに文章が続くようにします。
●両流れ
上記の「なき分かれ」と同様の状況で「なき分かれ」とは反対の問題が起きてしまいます。下図の①も②もいずれもここで文章が終わっていたとしても、③に記事がある場合、①か②のどちらかから③へ続くはずです。しかし①も②も文章が句点(。)で終わっていたら、③へはどちらからでも流れる(両方から流れる)ことができてしまいます。
改善するには「なき分かれ」同様で、①か②のうち③へ続く方を句点(。)で終わらせずに文章が続くようにします。
なお「なき分かれ」や「両流れ」は、記事が出来上がって、レイアウトに反映したときに確認します。
やらない方がよいレイアウト
誤読の誘うわけではありませんが、紙面が安定しないなどの理由で「やらない方がよい」と言われるものもあります。
●見出しの横(縦)並び
横書きの場合、二つの別の見出しがきれいに横に並んでいると、本来は別々の二つの見出しが一つの見出し(スペース)に見えてしまう可能性があります。これは読者にとって分かりにくいレイアウトになりますので、見出しが横に並ばないように工夫する必要があります。どうしても並んでしまう場合は、左右の見出しがそれぞれ別のものだと分かるような工夫が必要です。縦書きも同様です。
●罫線の重複
囲み記事は線で囲み、罫線は記事を区切る際に用います。囲みの線も記事を区切る効果があるわけですから、囲み線と罫線をくっつける必要はありません。くっつけて掲載してしまうと無駄な配置となり、紙面にごちゃごちゃ感を作ってしまいます。