レイアウトのベースを決める編集会議

企画会議で紙面に掲載する内容を決めたら、次は編集会議で「どのように掲載するか」を決めていきましょう。企画会議と並行して行ってもかまいません。

ページサイズを決める

まず、ページのサイズを決めます。一般的にはA4判(210mm×297mm)が多いですが、その他のサイズ(B5判、B4判、A5判、A3判など)でも構いません。ただ現代社会では一般文書としてはA4判が多く、プリンターはA4判出力が基本になっていますので、広報誌もこのサイズで作られる例が多くなっています。すでに発行されている場合は、そのサイズに合わせればよいでしょう。

ページ数の確定

何ページの広報誌を作るかを考えます。定期的に発行を続けている場合、ページ数はすでに決まっていると思いますが、特別号などでは増ページする場合もあります。初めて作成する広報誌なら、ページ数を確定します。

ページ数は、掲載内容の数や文章等の量から決めることができますが、実際には、発行予算や制作者がどれだけ制作に関われるか、またスキルの問題など、さまざまな要因によって決められる場合が多いようです。予算については、印刷業者を使う場合、大きな問題になってきますので、まずここから詰めていく必要があります。

またページ数は、基本的には4の倍数で考えた方がいいでしょう。6ページとか10ページといった4の倍数でない数量でも作成できますが、6ページだと4ページ分の紙面に1枚の用紙(裏表で2ページになる)が挟み込まれることになり、配布時やその後に、挟み込まれたページが飛び出してしまう場合もあります。できるだけ4の倍数を心がけるようにしましょう。

ただ、数十ページ、数百ページといった多いページ数で、冊子に組み上げる際(これを「製本」といいます)のり付けの形にする場合は、特に4の倍数にこだわらなくてもかまいません。ただページ数が多い場合は、印刷時に紙の無駄が出やすくなるので、最低でも4の倍数、できれば8の倍数や16の倍数であることが望まれます。ページ数が多い場合でも、左右ページの間(ここを「のど」と呼びます)をホチキスでとめる製本では、必ず4の倍数でなければいけません。

なお奇数のページ数は、1ページ(用紙の表のみ)の紙面以外は考えない方がいいでしょう。奇数ページということは、何も印刷されていない紙面が出来上がるということです(紙には必ず表と裏がありますので)。1ページのみの紙面なら裏が白でも違和感はありませんが、3ページや5ページといった広報誌となると、最後の紙面が真っ白になり、かなり違和感がありますし、読者が「無駄だな」という印象を持ってしまいます。ということで、広報誌のページ数は偶数を基本として、できるだけ4の倍数で考えるようにしましょう。

ページ数の例

ページ数の例

ページ割り

ページ数が決まったら、ページ割りを行います。これは、どのページに何を掲載するかを決めるものです。広報誌作成の予算などに制約が少なく、ある程度、自由にページ数を設定できる場合は、ページ割りから先に考えて、最終的に総ページ数を決める方法もあります。しかし多くの場合ページ数に制約がありますから、その範囲内でページ割りを行うことになります。

ニュース性の高い内容や、強く伝えたいものは、前の方へ持っていきます。また特集などで数ページ使う場合は、見開き(ページを開いたときに左右ページを同時に見られる状態)を活用し、2ページ分をひとまとめに構成することなども考えてみます。必要に応じて、特集を4ページ、6ページなどにすることもできます。特集を5ページなどの奇数にした場合、6ページ目に何を掲載するかも考え、全体の整合を図ります。あるいは、5ページの初めのページを扉とすることもできます。扉とは、その部分の(特集部分のみの)表紙のようなものです。

見開き・扉の例

見開きの例・扉の例

紙面の初めに掲載する内容(いわゆるトップ記事)や特集ページは、内容によってページ数が多くなる場合があります。しかし総ページ数が決まっている場合は、こうした記事の一部を割愛しなければならない場合も出てきます。あるいは、トップ記事や特集ページを優先して、その他の内容(読み物のどれかなど)をごっそり割愛しなければならない場合も出てくるかもしれません。そのあたりも考慮しながらページ割りをしていきます。

なお、いわゆる「読み物」は、後ろの方へ持っていくといいでしょう。または、トップ記事や特集ページの一部分を使って(線で囲んだ小さい記事扱いにして)掲載することもできます。こうした「囲み記事」は、線で囲まれているため、同じページの内容とは別内容であると認識されますので、別記事を織り込むときに便利です。

囲み記事

ラフレイアウト

ページ割りが済んだら、ページごとに内容の配置を決めていきましょう。日刊紙の場合は、ホットなニュース原稿が飛び込んでくるため、事前に配置を決めることが難しいようです。とはいえ、それ以外で事前に取材をしてまとめた記事なら、先に紙面配置を決めておくことができます。

一般的な広報誌は事前に掲載する内容を決めていますから、先にページ内の配置を決めてしまいましょう。これを便宜上、ラフレイアウトと呼んでいます。

レイアウトとは、印刷物制作の場合、紙面上に何をどう配置するかというものです。大きな文字や写真をどの位置にどれくらいの大きさで置き、本文をどんな形で流していくかなどを決めるのがレイアウトです。それを事前に粗く(ラフに)やってしまおうというのがラフレイアウトです。

ラフレイアウトの例

事前レイアウトで文字量を把握

ラフレイアウトのメリットの一つに、記事量を事前に把握できることが挙げられます。これは原稿を依頼する際に力を発揮します。依頼する際、書いていただく方にその量を伝えますが、ラフレイアウトによってどれくらい書いていただくかを知ることができます。また事前にレイアウトを行うことで、じっくりと考えた形にすることができ、安定したレイアウトが可能になります。

デメリットとしては、記事の文字量が限定されてしまうことが挙げられます。とはいえ、紙面に掲載する記事は、長ければいいというものではありません。簡潔にまとめることが重要ですので、これはデメリットに見えるものの、良い結果(完成形)を導き出す要因になるとも言えます。

ただ、事前にレイアウトをすると、どうしても毎回同じような形になってしまいがちです。これはよろしくありません。レイアウトは毎回変えていくように心がけたいものです。毎回同じ配置だと、見る方が飽きてしまいます。どうせ同じような内容だろうと、誤った認識を持たれがちです。見た目にも新鮮になるよう、毎回さまざまなレイアウトを工夫したいものです。

※レイアウトについては「レイアウト」の項を参照してください。

ラフレイアウトを元にレイアウト用紙に沿ってレイアウト/文字数が把握できる状態に

ラフレイアウトをもとにきれいにレイアウト(本文の文字数を把握する)

レイアウト用紙・フォーマットの用意

ラフレイアウトをする際、具体的にはどのように行うのかが問題になります。ラフにレイアウトするといっても、1枚の白紙を用意すればよいというものではありません。

印刷・出版の世界では、まだアナログな手法でのみ制作が行われていた時代から「レイアウト用紙(割り付け用紙とも)」というものを利用していました。これは下図のような用紙です。

レイアウト用紙の例(1段組みと2段組み)

小さな○(□の場合もある)が紙面に並んでいますが、これら○の一つずつが本文の一文字ずつだと考えてください。また紙面における○○○の集まり(全体)の位置や体裁は事前に決めておきます(すでに広報誌が発刊されているなら決まっているはずです)。用紙の上下左右の端からどれだけ離れているか、文字の大きさは何ポイントか(何級か)、行間はどれだけか、1行は何文字か、1段は何行かといったことまで決めておきます(既存の広報誌ではすでに決まっています)。

この用紙が紙面の設計土台となります。○が並んだ場所に、本文だけでなく、写真や見出し(大きな文字で示すタイトル)を配置していきます。写真は、例えば「20行2段分」のように決めていきます。

こうした用紙を使うことで、毎回、同じ体裁(本文文字の大きさや行間、空きの広さなど)の紙面を作ることができます。

コンピューターを使ってレイアウトをする場合も、こうしたレイアウト用紙を使ったラフレイアウトは有効です。そこで、レイアウト用紙を作るところから始めることをお勧めします。

コンピューターでレイアウト用紙を作って、それをプリントアウトして、手書きでラフレイアウトを行います。最終的な本レイアウトは、作ったレイアウト用紙(データ)に合わせてコンピューター上で作成します。これにより、当初考えたようなレイアウトを実現することができます。

ラフレイアウトを行わずに画面上で作成していくと、どうしても「作りやすい」紙面作りになってしまいます。大切なのは、作りやすさではなく、読者にとって見やすいか、分かりやすいかです。そのためにラフレイアウトがあると言っても過言ではありません。

気をつけたいレイアウト

 紙面レイアウトをする際、いわゆるタブーと呼ばれる「やってはいけない」「やらない方がいい」形があります。神経質になる必要はありませんが、基本的な事柄はおさえておきましょう。別ページにまとめました。「レイアウトタブー」のページをご覧ください。

レイアウト用紙を用意しよう

プリントしてラフレイアウトを行うためには、土台となるレイアウト用紙(のWordファイル等)があると便利です。

 一例を用意しました。よろしかったらこちらからダウロードしてご利用ください。

広報誌名をつける

初めて広報誌を発行する場合は、広報誌名を付けましょう。「○○PTA新聞」とか「○○組合ニュース」とか「(社名)広報」といった広報誌名が悪いわけではありませんが、独自の名前を付けて使い続けると、少しずつ読者に浸透していきます。組織内の広報誌(機関誌)なら「私たちの広報誌」といったイメージが醸成され、読者にとって身近な存在になっていきます。ぜひ、独自の名前を考えて付けてください。

広報誌名は毎回使い回すものですので、できれば少しデザインして、見栄えの良いものにするといいですね。パッと見で「いつもの広報誌」と分かるデザインと名前を用意するといいですよ。

広報誌名の例

題字(広報誌名)の例