取材内容をまとめることから

取材をしたら記事(原稿)を書きます。とはいえ、取材時のメモを見つめているだけでは書けません。書き出す前に、取材内容をまとめ直しましょう。

ポイントを箇条書きにする

取材メモは、取材時の時間経過に沿って書かれている場合がほとんどですので、そのまま文章にすると冗長になってしまいます。そこでポイントを見つける必要があります。

簡単な方法としては、取材内容を箇条書きにしてみるといいでしょう。手書きでもパソコン上でもどちらでもかまいません。箇条書きにまとめてから全体を読み直してみると、大事な部分が見えてきます。

さらにまとめ直してみます。今度は内容を分類するなどして、記事として書きたい内容に注目します。あとは言葉をつなげていけば記事になっていきます。

記事は小説やポエムとは違います。分かりやすく、正確に書かれていればよいのです。

メモから記事への流れ(架空記事の例)

一例として、架空の団体の総会記事を書いてみました。記事になるまでの流れを見てみましょう。

・メモを箇条書きにする

以下はメモの内容を箇条書きにまとめた例です。

  • 凸凹協議会設立総会
  • 開催主体=△△株式会社が委員長を務める「凸凹協議会設立準備委員会」
  • 4月10日(月)午前10時から、山之上市市民会館大ホール
  • 来場者数およそ150人
  • 初めに開会あいさつ=この協議会の設立は長い間、切望されていた。県下25の○○組織が連携することで開発・流通・拡販が望める。○○○○○(ほかの内容も)
  • 議題=設立審議、会長選出、今年度の事業計画案審議
  • 決定事項=設立を議決(全会一致)、会長に山上太郎氏(○○団体出身の山本氏、元△△株式会社代表取締役社長)、事業計画案を議決(○○、○○、○○の3点実施を議決。詳細は追って委員会設置後に協議)
  • 質問等は、なし
  • 会場の声=協議会の成功に期待している。協議会の目的が確定していない感があるので事業等を通して目指す先を見極めてほしい。バラバラだった組織の連携ができるようになりよかった。

箇条書きにした内容をさらにまとめ直すと分かりやすくなります。

上記のような報道ものの記事は「5W1H」に沿って書くことが基本とされます。「5W1H」とは、以下に示した英単語の頭文字を取ったものです。報道する際、これらが最低限必要だというわけです。

「5W1H」に、結果を意味する英単語の「Result」を加えて「5W1H1R」という場合もあります。何がどのように行われたのか、だけではなく、どういう結果になったかも重要な要素だからです。また総会自体の解説ではありませんが、参加者の声も報道の要素になります。

  • When=いつ
  • Where=どこで
  • Who=だれが
  • What=何を
  • Why=なぜ
  • How=どのように
  • Result=どうなった

・パターンとしての記事

メモから箇条書きにした内容を5W1H1R別にまとめ直してみます。参加者の声も加えます。

  • When(いつ)=4月10日(月)午前10時から
  • Where(どこで)=山之上市市民会館大ホール
  • Who(だれが)=△△株式会社が委員長を務める「凸凹協議会設立準備委員会」
  • What(何を)=凸凹協議会設立総会
  • Why(なぜ)=この協議会の設立は長い間、切望されていた。県下25の○○組織が連携することで開発・流通・拡販が望める。
  • How(どのように)=来場者数およそ150人。設立審議、会長選出、今年度の事業計画審議。
  • Result(どうなった)=設立を議決(全会一致)、会長に山上太郎氏(○○団体出身の山本氏、元△△株式会社代表取締役社長)、事業計画案を議決(○○、○○、○○の3点実施を議決。詳細は追って委員会設置後に協議)
  • 参加者の声=協議会の成功に期待している。協議会の目的が確定していない感があるので事業等を通して目指す先を見極めてほしい。バラバラだった組織の連携ができるようになりよかった。

これをもとに記事を作成します。カッコ内は5W1H1Rを解説したもので、実際の記事には含めません。

4月10日(月)午前10時から(いつ)、山之上市市民会館大ホールで(どこで)、△△株式会社が委員長を務める設立準備委員会主催による(だれが)、凸凹協議会の設立総会が開かれました(何を)。同協議会は、県下25の○○組織の連携を目指して、長い間、設立が望まれていたものであるといいます(なぜ)。

総会ではおよそ150人の出席者により「設立」「会長選出」「事業計画」の3点が審議されました(どのように)。採決では、全議題を全会一致で決議。初代会長には、○○団体出身者の山上太郎氏が選出されました。山上氏は元△△株式会社社長でもあります(どうなった)。

短くまとめるならこの程度でよいでしょう。

箇条書きにまとめたものと記事を見比べると、まとめに沿って書かれていることが分かります。

もう少し詳しくする場合(スペースに余裕がある場合)は、上記に以下を加えるといいでしょう。

審議内容のうち事業計画では、○○、○○、○○の3点の実施が決まりましたが、詳細は今後設置予定の委員会で協議されることとなりました。

同協議会の発足により、県下の○○組織による開発・流通・拡販が望まれると期待が寄せられています。総会に出席した方からは「バラバラだった(25の)組織が連携できるようになり良かった」「協議会の成功に期待している」と期待する声が聞かれたものの、中には「協議会の目的がはっきりしていない感がある」と心配する声も出ていました。

記事書きは、ある程度パターン化していると言っても過言ではありません。文章を書くことが苦手でも、上記のように、メモをまとめ直して、そこから言葉を拾って並べていくという方法で書いていくといいでしょう。

逆三角形法を意識しよう

記事を書くときは、伝えたいこと、ポイントとなることを先に書く「逆三角形法」を採用するといいでしょう。読者は気まぐれですから、記事を最後まで読むとは限りません。途中で投げ出されたとしても、ポイントとなる情報が伝わるよう、できるだけ前の方に記します。また主要ではない内容が後ろにあれば、そこを割愛して記事を短くすることもできます。

・ポイントが先にある記事(推奨)

○月○日、市民グラウンドで実施した社内ソフトボール大会で、○○○チームが優勝。昨年に続く二連覇となりました。

出場チームは全部で12。昨年から4チーム増えたためか、熱気と盛り上がりも増大していました。トーナメント制の試合は、○○○所属の鈴木さんの選手宣誓で始まり、終了は午後4時。優勝した○○○チームは、山田社長から賞状・トロフィーそして記念品として組合タオルを受け取りました。

前日は雨が降っていたため実施が危ぶまれましたが、当日は晴天に恵まれ、無事実施できました。

・ポイントが後になっている記事(避けたい)

○月○日に実施された社内ソフトボール大会は、前日の雨もからりと上がり、雲一つない晴天のもと、市民グラウンドを会場に始まりました。

大会ではまず、○○○所属の鈴木さんによる選手宣誓が実施されました。試合はトーナメント制で、出場チームは全部で12。昨年から4チーム増えたためか、熱気と盛り上がりも増大していました。

全試合が終わったのは午後4時。優勝は、○○○チームで、昨年に続いて二連覇でした。同チームには山田社長から、賞状・トロフィーそして記念品として組合タオルが渡されました。

初めてソフトボール大会が開催されたのなら、開催されたことがポイントになりますので、それを初めに持ってきます。毎年開催されているソフトボール大会の様子を紹介する記事なら、開催されたことより結果がどうなったかなどがポイントになりますね。また例年と異なる開催方法で実施されたのなら、それがポイントになります。記事で最も伝えたい(伝えるべき)内容(ポイント)が何であるかを見極め、それをできるだけ初めの方に持ってくるといいですね。このポイントは「企画会議」の項で記した「切り口」にも関わってくるわけです。

 

原稿の書き方の基本

紙の原稿用紙に手書きで記す際の基本的な方法です。

Word等のソフトで文字を入力する場合、以下の「2」「3」は自動的に処理されますが、「1」「4」「5」は注意が必要です。

  1. 文章の書きはじめ、段落がえのときは、1字下げて書き始める。
  2. 句読点、カッコなども1文字分使う。
  3. 句読点や閉じカッコ(終わりカッコ)が行頭にくるときは、その前の行の下に付ける。また始まりのカッコ(始めカッコ)が行末にくるときは、句読点を増やすなどして調整する。
  4. 「?」の次は1文字分あけて文章を続ける。「?」の次に閉じカッコがくるときは、あけない。「!」も同様。
  5. 「……」(三点リーダー)を付けるときは、2文字分使う。
  6. 原稿用紙を使う場合、見出しは別紙1枚目に書き、本文は2枚目の1行目から書く。ノンブル(ナンバー)は2枚目、つまり本文が始まるページが「1」。